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Orfeon Blog

読んだ本の要約、感想など。 他にも日々思ったことをつれづれと書き連ねます。

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次世代ウェブ 

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佐々木 俊尚

光文社 2007-01-17
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☆☆☆☆
感想
ちょっと前まで自分もWeb検索関連の研究を行っていたこともあって、Web関連でのビジネスやネットユーザの動向に興味を持って読んでみました。 検索支援の際に他のユーザの行動を利用したり、自分にあったコミュニティを見つけるための技術やそれが目標とするところについては知っている所が多かったので、評価は☆4つとしましたが、Webビジネスがどういう方向で発展しつつあるのかについてのバッググラウンドや示唆を得るためにはとても良い本ではないかと思います。
一番印象に残ったのは、最後の方になりますが、仮想世界から現実世界にお客を誘導する音楽ビジネスの話でしょうか。何でもWeb上で済ませてしまえる便利さを売りにしたサービスが次々と出てくる昨今、それを撒き餌にしてしまって、あえて現実世界でのサービス提供に力を注ぐという発想は自分にとっては新鮮でした。もっとも収益システムなどもまだまだこれからなのでこれからどうなるのかはわかりませんが、もしそういう仕組みが働くようになると、たとえば音楽であれば、圧倒的に稼ぐようなミュージシャンは少なくなっても、今まで以上に音楽を人に聞いてもらえる機会がより多くのミュージシャンに与えられることになって、それによる質の変化についてはひとまず置いておくとしても、より多くの人が何かをクリエイトして発表すること自体が身近なエンターテイメントとなるような時代が来たら来たで面白いだろうな、などと思いました。

要約
近年、Web2.0などの言葉が喧伝されるようになり、日本でもネット系のベンチャーで成功する人もたくさん出てきているが、そうした日本におけるネットベンチャー成功者に共通する要素として、もちろん技術力も必要ではあるが、営業力が欠かせないことがわかる。今までの成功したネットベンチャーを振り返ってみると、初期はネット環境が一般消費者には広がっておらず、法人を相手にしたビジネスが中心となり、企業相手では営業力が大きくものをいう世界であったため、強い営業力を持った会社が力を伸ばし、上がった知名度を利用してさらに力を伸ばすという型がしばしば見られた。しかし通信インフラの整備や一般のネット人口の増加などの環境の変化が起こり、近年では技術力やビジネスモデルの秀逸なベンチャーが誕生している。新しいネットベンチャーは様々なビジネスモデルを展開しているが、それらの多くはWeb空間に存在する巨大なデータベースと、それを利用しようとする人たちを効果的に結びつけるための「UFOキャッチャー」としてのサービスの向上を志向している。今後より多くの企業が「UFOキャッチャー」としてのサービスの向上を目指し、そうしたサービスが社会を変えていくことになるだろう。

まず法人向けのナレッジマネジメントで成功した事例を紹介する。もともと中古車販売店であったクインランドは、成績のよい営業マンの行動レベルまで落とし込んだスケジュール管理を他の営業マンに強制させることによって、効率的に営業での知識共有を目指したシステムを開発したところ非常に上手くいき、それを他企業に外販するビジネスモデルを展開して成功した。ここでは顧客に対してこちらのとるべき行動を示唆するために顧客の行動を数値化してデータベースに収めて利用している。次にクインランドは一般顧客向けに中古車販売のポータルサイトを製作した。このサイトの画期的なのは、現在Web2.0的であるといわれる、掲示板など顧客同士が情報を交換する場を作って顧客の訪問数を上げ、そこでの顧客の行動に応じたサービスを提供することで契約成受率を達成した点である。さらにクインランドは地元の神戸での商店などを巻き込んだ地域コミュニティのポータルサイトを作って成功させている。ネットによって零細企業もより多くの人に知ってもらう機会が増えたが、多くの零細企業はITに対してスキルを持たないため、こうしたポータルはありがたがられた。オーケーウェブなども一般人を対象としたちょっと知りたいことなどを掲示板で書き込んで質問すると知っている人がそれに答える、知識共有サービスを提供している。こうして蓄積されたQ&Aデータベースとシステムを外部の企業にアウトソースすることによって収益を上げるシステムを作り出した。近年ではユーザが自然に作り出したデータベースのインフラ化が進んでいる。こうしたインフラを利用して、圧倒的に裾野の広いWeb世界で中央集権的にサービス提供者と一般ユーザのマッチングを握ることで利益を上げるのがアマゾンやグーグルである。

そうした中、ショッピングモールにおいて日本で成功している楽天はWeb2.0型企業とは言い難い。確かに消費者の感想や楽天ブログのアフィリエイトなどユーザの作り出すコンテンツは数多くあるが、楽天が成功した要素は、ポータルによる巨大集客力と、出展店舗にとって使いやすいECシステムが挙げられる。集客について、今後、ロングテール化などによって消費者がそれぞれの嗜好にあった様々な商品≒商店に興味を持ち出すようになると、一握りの有名サイトが集客力を持ち続けるYahoo!のような階層型ポータルサイトから、様々なサイトにチャンスが分散するGoogleのような検索システムに移行していくと考えられ、楽天のようなポータル型も相対的に魅力を失って中抜きにされるのではないかと考えられること、他のサイトがAPIサービスなどの提供によって、安価で簡単にECシステムを提供するようになると楽天の優位性が失われること、などの弱みが考えられる。さらに、楽天に参加する商店を比較する際、基本的には用意されている比較システムでは値段がメインに比較されるため、値下げ競争に陥りやすく、参加店舗の体力が消耗しやすい。また消費者側からも同じような品揃えの店舗ばかりで面白いくないとの意見も聞かれる。楽天はさらに多くの魅力的な店舗を増やすためには、それぞれの店の個性を伸ばすための提示方法を工夫するべきであろう。

様々な概念を内包するWeb2.0においても、SNSやブログなどのコミュニティ関連の重要性は非常に大きい。それらがなぜ重要であるかというと、今まではWeb上でのマッチングを担ってきたYahoo!などのポータルサイトであるが、一般ユーザはSNSやブログなどの情報から自分の興味を刺激されて情報にアクセスする傾向が高まり、既存のポータルとしての価値が減少していくことが挙げられる。代表的なmixiは交換日記型のサービスを主導にして短期間で圧倒的なシェアを得た。これに対して、Yahoo!の井上社長は、今から交換日記のサービスによってmixiからシェアを奪うのは先行者が圧倒的に有利なので不可能であるが、SNSの本質は日記ではなく人間関係のダイアグラムにある、とし、Yahoo!がユーザに対して提供するサービスに付加する形で人間関係に関する情報を取り込む方法によって追い上げようとしている。そこで集めた人間関係に関する情報は、日記ではなくとも、サービスに対する行動情報やレビューなどを利用して、ユーザに対してより適切、効果的にサービスを提供することが可能となる、としている。こうしたコミュニティを重視する流れはオンラインゲームにも現れ始め、現実世界での人間関係を取り込んだゲームを製作することで、ゲーマだけではなく、一般のネットユーザをゲームに呼び込み、そこで現実世界の延長としても遊びを楽しみつつお金を落としてもらうためのサービスが考えられている。「セカンドライフ」などではネット上でのお金が現実のお金との兌換性を持つことから、それがもたらす影響については賛否両論あるが、これからは人間関係だけでなく様々なものが現実世界と仮想世界がシームレスにつながっていく方向に進んでいくのではないだろうか。

人間関係のダイアグラムにはさらに大きな可能性があると考えられる。 検索エンジンでは世界トップシェアを持つGoogleは、Web上の巨大なデータベースからユーザにとって必要な情報を持ってくるためのアルゴリズムと、それをとても速く低コストで行うためのアーキテクチャーを開発することで今日の成功を手に入れたのだが、ユーザにとって必要な情報を持ってくるための精度をさらに上げるために過去のユーザの行動履歴を用いるなどの工夫が行われている。しかし過去のユーザの行動利用にも限界があり、ネット上の行動履歴ではそのユーザのその場の嗜好を掴むことは難しいであろう。そこで、ユーザが何かに興味を持つ際は周りの人間に影響されることが多く、ここでも人間関係を利用した支援が有効になると考えられる。しかし、そうしたソーシャル的な情報を用いて成功しているはてなブックマークは大きくなりすぎて、昔から利用していたユーザの中には、提示される情報の(その人の嗜好に沿った)質が落ちた、と考える人も出てきている。より多くの人が利用するようになれば、潜在的にたくさんの手がかりが得られるものの、それだけそこで提示される情報も平均化してしまう危険性も伴う。こうしたリスクに陥らないためには、情報をそれぞれの人に合わせた形で分類することが有効であるが、その際に有効となるのが、それぞれの人が現実に所属する様々なコミュニティに関する情報である。こうした情報をWeb上に取り込んだシステムはいまだ存在しないが、うまく取り込むことができればより強力な検索システムが出現するだろう。

これからのWeb技術は、現実世界にある情報を仮想世界に取り込む、仮想世界にあるテキスト以外の情報もウェブページと同じシステムの上で利用できる、という方向で進んでいくのではないだろうか。現実世界に関する情報としては、個人の健康状態を取り込むことで健康管理をリアルタイムで管理したり、RFIDによって流通プロセスを管理してコストを少なくする、等、様々なアイデアがすでに実現されつつある。またテキスト以外の情報としては放送業界で利用されている膨大なコンテンツなどが考えられ、そこからユーザが欲しい情報を効率よく検索するために、画像や音声、動画の中身を解析するための技術が用いられている。またそのコンテンツを観た人にラベルを付けてもらうことで、テキストとしての情報として扱うことなども考えられている。こうしたシステムが実現してユーザが自由に自分にとって楽しい情報にアクセスすることができるようになれば既存の放送局の一方的に情報を流すモデルは陳腐化してしまうだろう。テキスト検索においては日本はアメリカに大きく出遅れてしまったが、今後より多くの利用が見込まれる映像、音声、動画に関する解析処理技術では日本は強みを持っており、まだまだこれから挽回の余地があるだろう。

さて、Googleやアマゾンなどのプラットフォームシステムは、地主とも言える存在で、その上でビジネスを行う限り、おいしいところはその多くが持っていかれてしまう。そこでそうしたモデルから抜けるための示唆として、音楽配信サイト「mF247」を立ち上げた丸山氏について紹介する。丸山氏は、既存の音楽スタジオのシステムと正反対の、スタジオと契約するためにミュージシャンの方が審査料を払って登録した音楽を、ネットで無料で流す、という「mF247」というサイトを立ち上げた。 もちろんこれでは利益は出ないのであるが、丸山氏は、無料で流した音楽に感動した客にライブなどに来てもらって、そこでお金を落としてもらおう、という構想を持っている。最近の音楽視聴スタイルは、電車の中など何かのついでに聞くことが多くなっていて、音楽それ自体を全力で楽しむという傾向は弱まっているが、丸山氏は、全力で音楽を楽しむためにはライブに来るしかなくなるようになるのではないか、と考え、そうしたお客さんを集めることに、今までは収益の中心だった音楽配信を利用したのだろう。ネットにおけるプラットフォームから離れて独自の収益モデルを図るには、ネットの仮想世界から現実世界に、自らの土俵を作ってお客さんを誘導することが、一つの解になるのかもしれない。

企業が宣伝を行う際のメディアとして、以前からブログが注目されている。しかし、ブログ広告の難しいところとしては、企業側がブロガーにお金を払って自社製品を持ち上げてもらおうとする、などコントロールしようとするとネットの人から逆に大きな非難を浴びることになる。そのためきちんと情報の可視性、ブロガーの独立性などを担保するための仕組みが必要となる。ブロガーの立場からすると、アフェリエイトによる収益よりも、読者から得られるリスペクト、自らが持つ影響力の実感、の方が重視されるようになり、Googleの検索ロジックの変更によってアフェリエイト的なブログの優先順位の抑制、中身に応じた優先付けなどもあって、いっそう中身を重視したコンテンツ作りが広がっていきつつある。したがってブログ広告を提供する企業も、ユーザに自社の製品について、どう書いてもらうかは全く干渉せず、まず書いてもらう機会を多く提供することから始めることが大切になるだろう。ブロガーの独立性の担保、ブロガーが相応のリスペクトを得られる仕組み、リスペクトを得られる人がそれに応じた収益を得られる仕組み、を作ることができれば、プラットフォームホルダーに支配されない新しいエコノミーモデルを提示することも可能であろう。
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Posted on 2007/04/15 Sun. 23:03 [edit]

category: 読んだ本

thread: ブックレビュー  -  janre: 本・雑誌

tag: 感想  要約  佐々木俊尚 
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