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Orfeon Blog

読んだ本の要約、感想など。 他にも日々思ったことをつれづれと書き連ねます。

エルフェンリート 

エルフェンリート 12 (12)エルフェンリート 全12巻
岡本 倫

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☆☆☆☆☆+
エルフェンリート 1st Note(CD付き初回限定版)エルフェンリート 全7巻
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☆☆☆☆★
このマンガを読んだのはもう一年以上も前になるのですが、今までいろいろと悲しいマンガを読んできたけど、こんなにも読んで鬱になったマンガは初めてでした。 たまたまHUNTER×HUNTERの作者がこの漫画にハマってしまい作風に影響を与えた、などという話を聞いて興味を持ってアニメ版のHPでOPと予告編を観る⇒もの悲しげな雰囲気に惹かれる⇒マンガ版を読む(⇒アニメ版を観る)、という流れで見事にはまってしまいました。
どんなに感動した物語でも時間がたってしまうとその衝撃も薄らいでしまうもので、1年前に見た時は死ぬほど鬱な気分だったけど今では普通に読めてしまいます。そんな時間の無常さに少し寂しい気持ちを抱きつつ、インパクトが薄れていく前に感じたことを残しておこうとレビューを書いてみました。

「ストーリー」
「おおまかなお話」
二角奇人(ディクロニウス)は、人間の突然変異体………頭から生えた角を持ち、第6感とも言える特殊な能力と手を持っていた。人類を淘汰する可能性をも秘めた彼女らミュータントたちは、その危険な能力のため、国家施設に隔離、研究されていた。 しかし、偶発的事故により、ディクロニウスの少女ルーシーは拘束を破り、警備員らを殺戮、研究所を逃げ出す。が、その途中で記憶喪失となってしまう。過去と記憶を無くしたルーシーは、鎌倉・由比が浜に流れ着くが、その浜辺でコウタとユカに出会い、「にゅう」と名付けられ、コウタの住む楓荘に居候することになる……。

ちょっとエロや萌えが入ってたり、残酷な描写があったりと、決して万人受けするような作品ではないかもしれません。 しかしこの物語はハマる人にはとことんハマると言われているようで、いかにも萌えを狙ったような見かけとは裏腹に、登場人物が、親や友人など人から受け入れてもらうことを欲する愛おしさ、それが叶わない寂しさを描いた物語でもあり、自分がハマってしまったのもこの寂しさというテーマに感じ入ってしまった部分がかなり大きいです。
物語は、ラブコメ的な部分もあるものの基本的には悲劇路線の悲しいお話なのですが、自分の場合泣くような悲しさというよりはひたすら欝になるような悲しさでした。マンガ版とアニメ版とではクライマックスが異なっていて、アニメ版では懐古的な心情を引きずり出す演出が凄いのですが、ストーリーに関しては、マンガ版でのヒロインの人恋しさ、寂しさが痛々しいほど伝わってくるクライマックスは本当に衝撃です。
人寂しさにどこか感じ入るところがある人には是非ともお勧めしたいと思います。

アニメ版 (⇒アニメ公式HP予告編
自分の場合、先に漫画を読んでストーリーを知ってしまったこともあって、アニメ版は漫画版ほど物語からのインパクトは受けなかったのですが、アニメ版のBGMや舞台などから醸し出される全体的な雰囲気はどこか奥深さがあってとても良かったです。
まずマンガを読んでみようと思うきっかけとなったOPですが、 アニメ公式HPの予告編、OPを観ていなかったらきっとマンガの方も見ていなかったくらい、OPの重々しい雰囲気や、OP以外でも本作でたびたび出てくるLiliumという物悲しい曲に惹かれてしまいました。
(オープニング)

その悲しげなLiliumが安らかに転調したメロディにあわせて、幼少時代の思い出が次々と流れていくクライマックスの演出には本当に泣かされます。
この最終回のフルで流れるLiliumは1st Noteの初回限定版のサウンドトラックCDにも入っていないのですが、原曲のアーティスト「MOKA」によるアレンジ曲の入ったCDが出ていて、アニメ版とはやや違っていて少し幻想的な雰囲気が加わっていますが名曲だと思いますので、気に入った方は聴いてみてはいかがでしょうか。
竜宮幻歌竜宮幻歌
MOKA☆

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あとノスタルジックに強く惹かれてしまう自分としては、アニメ版の舞台背景の懐古的な雰囲気がとても好きです。 監督がロケハンにこだわる人らしく、特に鎌倉には強い思い入れがあるようで、物語の日常の舞台となる元料亭である楓荘、鎌倉の街や自然では実在の場所が所々丁寧に描かれていて、歴史ある場所だけあって登場人物達の暮らしの生活感や、幼少時代のシーンなどもオルゴールのLiliumも絡めて醸し出される雰囲気がどこか懐かしく、舞台自体にも思い入れを持てます。このアニメを観た人は鎌倉を訪れることが多いようで、自分もたぶんマンガ版を読んだだけなら鎌倉に行ってみたいとは思わなかったかもしれません。
アニメ公式HPで予告編が観られるので、興味を持った人は是非覗いてみては。

マンガ版
ネットが普及したこういうご時世ということもあって、本作の入り口としてはマンガよりもアニメから入った人の方が多ようで、アニメ版は観てもマンガ版は見ていない人がかなり多いようなのですが(最近は本屋にもおいていないので)、アニメ版を観た人でも特にそのストーリーに惹かれた人には、物語の上ではアニメ版以上であると思うマンガ版の方も強くイチオシしておきたいと思います。
そのマンガ版なのですが、特に最初のうちは絵が下手で初期の画力の無さでだいぶ損をしているマンガに思います。1巻をちょっと見て読む気が失せてしまう人(特にアニメ版を先に見てしまった人)もきっと多いとは思いますが絵の方は徐々に上手くなっていくので、とりあえず話が進む4巻、できれば前半の佳境となる7巻まで辛抱して読んでみることをお勧めします。
ストーリーは、マンガ版の7巻前半まではほとんどアニメ版と同じなのですが、アニメ版は時間的な制約のために演出的な力技で物語的には強引にクライマックスに持っていった感があるのですが、マンガ版ではアニメ版で物語の中心となったルーシーとコウタの関係がより深い形で結末が与えられていて、アニメ版ではあまり描かれることのなかった他の登場人物にもその後の物語があってそれぞれが抱えている寂しさにも結末が描かれていています。
そして元々この作品は重要と思われた人物があっさり殺されたりと、先の読みにくいという評判もあるのですが、マンガ版で描かれる登場人物はアニメ版以上に追い詰められ、物語の結末は、最後は少しでも救われるのか、本当に救いのない終わり方になってしまうのか、ギリギリのところで話が進んでいく際どい緊張感があります。

そしてクライマックスはアニメ版以上に、本当に悲しい最期です。マンガなのにとても映像的で、胸が締め付けられるくらいルーシーの悲しい寂しさが伝わってくる、悲しくてとても綺麗なタイトルの所以ともいえるシーンです。
欝になるほどこの物語で心動かされてしまうのは、人から拒絶されて嫌われて一人ぼっちになって、どんなに人を憎むことになっても、それでも人から受け入れられることを願わずにはいられなかった人の持つ悲しい性、たとえ自分を受け入れてもらえなくても相手に向けられる無償の想いに、強く心を打たれてしまうからなのでしょう。
このマンガの作者、シナリオの細かい所ではいろいろツッコミ所はあっても、終盤の物語構成と演出力は本当に凄いと思います。今年の秋から次回作としてヤングジャンプでスポーツ物の新連載が始まるらしいので(⇒作者HP)、ぜひ期待したいところです。


ここからはマンガ版の内容的により突っ込んだ個人的な感想を。
ネタばれを含むのでまだ読んでいない人は見ないことをお勧めしておきます。

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Posted on 2007/07/09 Mon. 23:59 [edit]

category: 映画・漫画

thread: マンガ  -  janre: アニメ・コミック

tag: エルフェンリート  岡本倫  マンガ  漫画 
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