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読んだ本の要約、感想など。 他にも日々思ったことをつれづれと書き連ねます。

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大前流心理経済学 

大前流心理経済学 貯めるな使え!大前流心理経済学 貯めるな使え!
大前 研一

講談社 2007-11-09
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☆☆☆☆
中国特需などにより一見好景気かに見えるが、多額の赤字財政、年金問題、少子高齢化などの構造的な問題から、長期的には大きな問題を抱える日本経済。そんな日本経済を立ち直らせるための大前氏の独自の提言をまとめた本。
政策立案的な視点からの提言であるため、直接役に立てるために読むというよりは、日本経済におけるさまざまな問題点を知ること、本書で立案された政策を通じて著者のユニークな発想を楽しむことが本書を読む醍醐味かと思います。
特に後者について、著者の問題の分析も面白いのですが、問題の解決方法として、少し現実離れしているかもしれませんが、実際に生活者の生活がどう変わるかイメージできるような構想まで提案していることが大前氏の本の面白いところだと思うので、構想力の肥しとして読んでみてはいかがかでしょう。

「要約」
衰退期に入った日本経済的を立て直すために、これまで国は内需拡大のために公的事業や特定の(国際競争力のない)産業に財政出動させたのだが、効果は財政を投入した直後だけしか続かずまったく効果は上がっていない。また経済政策として低金利政策も取っていて、これは低金利にすることで企業が借金がし易くなりその分設備投資や在庫が増えて消費が上向くことを狙ったマクロ経済学の定石なのだが、グローバル化した経済圏では設備投資が国内ではなく海外に向かううことや、優良企業は銀行から借りなくても自前の余剰利益で投資を行えることなどにより効果は薄く、逆に低金利で生活者の利益が小さくなり消費は冷え込む傾向になり効果は上がらなかった。逆に金利を高く設定したアメリカは生活者の資産(ストック)を向上させて消費(フロー)をよくし、また高金利で世界中から投資が集まるためドルが(買われて)インフレに陥らず景気を維持している。
しかし一方で日本人は1500兆円にも上る個人資産がまったく金利のつかない銀行で眠っている。この個人資産の大部分はお年寄りのものである。老後の貯蓄額の大きさは安定を求める日本人特有のものでもあるが、同時に日本人がライフプランを持っていないことの証拠でもある。景気を上向かせるにはこのお年寄りの資産を消費に結びつける必要がある。一般にお年寄りは介護を必要とする程の弱者と考えられているが実際にはそれほど弱る人の割合は高くなく、アクティブな老後の生活を提案することができれば、お年寄りもお金を使うはずである。アメリカにある、お年寄りだけが暮らし、同じ趣味などを持った人同士で集まるコミュニティが多数存在するような町があれば日本のお年よりもアクティブなシニアになることができるはずである。また都内の狭い住宅に多くが住む団塊の世代は老後の移住のニーズが高く、都心から比較的近い関東圏の住みやすい環境を整えれば住宅産業の刺激にもなる。
お年寄りに生活にアクティブになってもらう一方、日本人が資産運用にもっとアクティブであれば資産(ストック)が上昇し、それだけ消費(フロー)が伸び景気も上向くはずである。まったく利子のつかない銀行に自分の資金を預けるのではなく、低利子でお金を借りて高い利子の付く海外で運用すれば低リスクでリターンが得られるのに誰もやろうとしないほど資産運用への意識は低い。しかし日本人の巨大な個人資産をまとめてファンド化して海外での投資に向かわせれば、ファンドとして大きな影響力を行使でき、よりよい投資機会を得やすくなるだろう。国としても資産運用の不得手な国民がスムーズに投資になじむための施策を打つ必要がある。たとえば著名なファンドマネージャーをたくさん雇ってファンドを組んで競争させれば、たとえ契約が高くつくものでも無益な公共事業などよりははるかに低費用で効果的であろう。ちなみに中国などでも国家が運営するファンドを作っているが、こうした国家ファンドにはマルチプルファイナンスの力が政治的な目的に使われる危険性もある。日本も国家ファンドを持つことになってもあくまで収益にこだわるべきである。ひとたび資産運用が大きな利益を生むことがわかれば、日本国民の資産運用意識も一気に変わるのではないだろうか。
ここまでは政策立案の立場から意見を述べたが、このままいけば巨額の財政赤字や年金問題などから国は国民から搾取する側に回る。そうなる前に資産運用の勉強を進め、あるいは若い人は日本の外で活躍できる力を培うべきであろう。またライフプランにも意識的に取り組んで楽しい老後を過ごせるようになってもらいたい。
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Posted on 2008/01/12 Sat. 23:59 [edit]

category: 読んだ本

tag: 感想  要約 
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愚か者の哲学 

愚か者の哲学愚か者の哲学
竹田 青嗣

主婦の友社 2004-08-25
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☆☆☆☆☆
難解なイメージで敬遠しがちな哲学ですが、よりよく生きるための知恵としての哲学を、著者の視点からかなりわかり易く説明されていてお勧めです。

要約
人の歩む人生を子供時代、若者時代、大人時代、の3つに大きく分け、人がそれぞれの時代でぶつかる悩みを取り上げ、なぜ人は苦悩するのかについて、これまで歴代の哲学者が考察してきた知恵をわかりやすく噛み砕いて説明しています。

【子供の哲学】
動物は本能のままに生きますが、人が動物と異なる点は、自我によって生きていることです。自我とは、感覚、感受性、美意識など世界を感じる能力であります。特に人の世界を感じる能力は、人が成長していく上で無意識に身についてゆくルールの束とも表現できます。このルールはまず親から与えられます。子供は好奇心からいたずらをしますが、親はこれを叱るのですが、いつか子供は好奇心や快楽よりも、親から褒められるというエロスを覚えるようになります。これによって自我の基本とも言うべき、人との関係性、他者から評価されることの快楽、自己愛に目覚めていきます。 この価値の自己ルールの束は、大きく、真偽、善悪、美醜についてのルールに分けることができます。 この自己ルールが他者や社会のそれとよく一致する場合は自我が安定していて、うまく人と折り合ってゆくことができます。健全な自我の標識は、
① 自分の真善美のルールを自立的にしっかり作り上げている
② 価値の自己ルールを固定的に考えず他者関係の中でそれを調整してゆくことができる
③ 自己ルールを社会的な能力として活かしていくことができる
の3つが挙げられます。特に①の形成は親子関係による影響が大きいため、ここで折り合いがつかない場合は、両親間でのルールが逆である、親のルールが社会のそれと違う、親のルールが自分の都合により与えられている、などの親子関係のねじれを原因として考えることができます。

【若者の哲学】
親の言うとおりの方法で大きくなっていった子供は、言葉のボキャブラリーがある程度増えると、親のルールから自由に思考するようになります。そして人から認められたいという自我が強烈に膨らむ時期である若者は、その自由から自分を正当化することにより、自分という存在のかけがえを実感することに思考のエネルギーを注ぐようになります。しかしこの自己意識の自由は内面だけの自由であり、現実には親や社会のルールに縛られ、挫折することになるのですが、ヘーゲルはこの挫折に反応する3つの類型を示唆していて、
① 誰からも認められなくても自分は自分である
② どんな人の見方や考え方だって相対的なもので絶対なんてありえない
③ 外から宗教や思想などの強力な世界観を自分の物語とする
といった自己意識の持ち方を挙げています。しかし人は社会で生きていく上では他人からの承認がなければ自然な自己価値を見い出すことはできず、結局大人になり、他者からの承認を得るためのゲームに参加することになります。他者からの承認としては、社会的な成功という尺度と、人間として尊敬されるという尺度の2つがあります。人は大人になるにつれ、必ずしも社会的に成功しなくとも人として承認されれば幸せになれることに気づいていきます。この人間として尊敬される人の中身として、最初に出た「真・善・美」の自己ルールが挙げられます。善悪は他者との関係におけるルールの基準として、美醜は人の感性として、真偽は絶対のルールの無い選択肢に対して自分が選んだことを肯定する感覚へのこだわりをそれぞれ表します。このルールを確立できない人は他者や社会の目が過剰に気になり、自分の判断に不安を覚えるようになります。また他者とのルール関係を経ずにできたも自己ルールは独善的なものに陥ります。このように自分というものは他者とのルールの交流を通じて作り上げていくものです。そして他者とのルールによって影響を受けて自己ルールを変容させるときに、人は生の意欲を欲望を充足させることができるのです。
「ほんとう」
人は限りある生の中で「ほんとう」(の人生)を追い求める生き物でもあります。ハイデカーは人は一度きりの人生でなにがほんとうであるかの配慮こそ、人間にとって本性的であり、挫折からニヒリズムに陥るときに人はその本質を捨て去るのだとしています。ヘーゲルは人がほんとうを追う流れを5つのステップで説明していて、まず自分にとって都合の良い自己ルールで自分の中だけで完結するほんとう、一人よがりのほんとうに挫折したときに生の快楽をただ享受することだけを目指すほんとう、男女が互いのロマンを射影しあうロマンのほんとう、正しい人間として生きることを目指すほんとう、そして最後にその人の人間性の表現(極端な例だと文学や芸術作品)を世に問うことから得られる承認、互いの自由を認め合いながらよいものを目指す承認ゲームの中で得られるほんとうを挙げています。人はほんとうというロマンや目標を失うと生きる意欲を失てしまいます。歳を取るにつれて失いがちなほんとうをうまく生き延びさせることが人間と社会にとって大切なことです。
「恋愛」
恋愛はそれだけで生きる意味を満たしてくれるという不思議なものです(そして自分にとってかけがえの無い人を得られる悦びは、その人を失うことの絶望と裏表一体でもあります)。この恋愛が特別なのは、社会的な役割から離れた自分自身を受け容れてもらえると感じられる幻想、そして社会や人の承認ゲームで得られる至高性は得るために大きな努力が必要で現実的に考えることが難しいのに対し、恋愛ではこの至高性(この恋人を得られれば生の意味そのものをつかめるという直感)を誰でも手に届きそうだと感じさせるところにあります。恋愛から得られるエロスには、人が持つ美しさとロマンの結晶化と、他人から無条件に承認されるという関係性からのエロスの2つからなります。つまり自分にとってもっとも美しく価値があると思う存在から無条件に自分が受け入れてもらえるという悦びです。このうち最初の美しいものに対するエロスは、その人が持つ美とロマンを結晶化したものを恋人に射影したものですが、しばしばそのロマンは現実に打ち砕かれることになります。しかし人はその本質からロマンを追い求める生き物でもありロマンを捨てることはできないのです。

以降、「大人の哲学」で失恋や絶望、ニヒリズムなどについて述べられているので、興味のある方はぜひ読んでみてください。

感想
本書を書く上で著者が参考にした哲学者にも生きることに対していろいろな考えを持った人はいると思いますが、著者のスタンスとしては、人間として生きる上で味わう楽しさつらさをすべて含めて生きることの醍醐味とし、人生を肯定するということでは一貫している人生賛歌の本であるように思いました。 人は自分の人生にロマンを抱きつつも挫折の中で大人の知恵としてロマンを現実に適応させて生きていきます。でも、ロマンをもてなくなってしまった大人は救いようの無いバカ、という著者の言葉がありますが、この理想と現実への適応とのバランスは、人が生きていく上で本当に難しい問題だと思います。 本書で述べられている、どんなに挫折を味わってもロマンを追い求めずにはいられない人間性、と、他者との関係の中から自分を作り上げそれに悦びを見い出す人間性、のお互いをカバーし合うことが、本書に込められたよりよく生きるための知恵なのかもしれません。
ちなみに自分が本書を読んだ当時はちょうど失恋中だったのですが、直接自分にとって救いになるような言葉はないものの、本書では(恋愛を含め)人生に強くロマンを抱かずにはおれない人間を肯定しており、ロマンが挫折にぶち当たっても究極的には人との関係性の中でしか人は喜びを得られないという示唆は、ちょっとずるいと思う反面、たとえ報われなくとも人に想われたいという気持ちは肯定されてもいいんだなという安心感を与えてくれたのを覚えています。

Posted on 2007/09/23 Sun. 17:19 [edit]

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入門! システム思考 

入門! システム思考 (講談社現代新書 1895)入門! システム思考 (講談社現代新書 1895)
枝廣 淳子 内藤 耕

講談社 2007-06-21
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☆☆☆☆
ビジネスや組織活動において、様々な問題を解決するために50年代にMITで考案され、GEやGE、デュポンなどの企業で取り入れられ成果を挙げているという”システム思考”を紹介した本です。最近は様々な問題解決の本が書店で見られますが、本書で取りあげられているシステム思考は複雑に絡み合った要素の"因果関係"を解き明かすことに重点をおいていて、問題を明快に分解して確実に論点を絞り込んでいく分析的な論理的問題解決法のような明快さはないものの、原因→結果→原因など原因と結果が相互に影響を与える関係や、時間差を伴って現れる関係など、意識しないと気づきにくい問題の構造が、環境問題から習い事が続かないなど身近なケースまで様々な例とともに紹介されています。今より少し広い視点から問題を考える癖を磨くためのよいきっかけになる本ではないかと思います。

本書で紹介されているシステム思考で用いられるツールは2つあります。
 1 ) 時系列変化パターングラフ
 2 ) ループ図
1)のマップは自分が改善したいと思う要素やそれに関連すると思われる要素を縦軸に、時系列を横軸にとったグラフで、グラフ中で過去の軌跡、このままだとたどると思われる軌跡、望ましい軌跡をみいだします。 このツールの主な目的としては時間的な中で因果関係を考えるきっかけになることが挙げられ、近視眼的にならないように時間軸は長く取るのがコツだそうです。
次のループ図はシステム思考の基幹ともいえるツールで、それぞれの要素の因果関係をグラフでつないでいくことによって関係性を可視化します。グラフでは要素間の因果関係の他に、その因果関係がプラスに作用するのかマイナスに作用するのかも同時に書き込みます。そしてできあがったループ図からループするパターンを見出します。現在の変えたいと思う状態は何らかの因果関係がループ上に働くことで悪い方向に向うか悪い状態にとどまってしまうと考えるのがシステム思考の特徴でしょう。そして見出したパターンの連鎖を止めるためのポイントを因果関係から見つけて対処することでひとまず解決となりますが、解決は往々にして予想もつかない所から次の問題の発生につながっているため、こうした因果関係を常にチェックすることが大切であるとしています。
そして次に、システム思考から導かれる知恵として、今日の問題は昨日の解決から生まれる、解決のつぼは解決とは一見遠いところにある、問題パターンはあくまで構造が引き起こしている、人や自分を責めない、世の中には副作用はなくあるのは作用だけ、システム思考はコミュニケーションツールでもある、などが紹介されています。他にも、強者はより強くなる、共有地の悲劇、成長の限界、などシステム思考を通じて頻繁に見られる因果関係のパターンも紹介されています。
こうしたシステム思考を実問題に用いる際に大事な点は、システム思考をコミュニケーションに用いることであるとしています。チームで問題に取り組む際にはメンバーと問題点を共有化することがまず解決のための第一歩になるのですが、このように因果関係をグラフで表すことで問題の構造を共有しやすくなります。そして問題を属人的な原因として捉えるのではなく、あくまで構造から起こるものだと考えることを促し、より効率的にメンバーで解決策を練ることに専念することができます。

本書で述べられているシステム思考の要点を自分なりにまとめると、時系列を交えた因果関係のループパターンを見つけ出す、ことに尽きると思うのですが、問題解決のアプローチとして問題をループ(悪循環)に絞っていたのは少し新鮮でした。そして悪循環を見つけるためには物事の因果関係を幅広く把握しないといけないのですが、そのためのシステマテックな方法までは本書では述べられていません。やはり問題を解決するためにはある程度のセンスや努力が必要なのでしょうが、本書は因果関係はいたるところに存在していることに気づかせてくれます。そうした気づきから少しずつ考える癖が生まれてくるのかもしれません。
ただし本書でも少し紹介されていた因果構造の頻出パタンはいろいろとあるそうで、同じ著者がそれらをまとめて書いた「なぜあの人の解決策はいつもうまくいくのか?」という本があるそうなので機会があればそちらも読んでみたいです。

Posted on 2007/07/20 Fri. 00:12 [edit]

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iPhone 衝撃のビジネスモデル 

仕事の関係でケータイ関連についていろいろと興味を持って読んだ本の紹介を。
iPhone 衝撃のビジネスモデルiPhone 衝撃のビジネスモデル
岡嶋 裕史

光文社 2007-05-17
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☆☆☆★
本書は最近流行のiPhoneを題した本なのですが、既存の携帯電話に対するiPhoneの優位点だけではなく、PCを中心としたWeb2.0的なビジネスに対して携帯ビジネスが持つビジネスモデル上の優位点などが述べられている点が面白かったです。
内容的にはそれほどボリュームがあるわけでもなかったので評価は3.5としましたが、この本で述べられている点はとても明快で、携帯の持つ、ビジネスモデル上の優位点と、デバイスが持つインタフェースがこれから重要になる、ということに集約されます。
ビジネスモデル上の優位点としては、Webで支払いをするためにはクレジットカードの番号などを入力する必要があるのに対して、携帯で買い物をする場合、支払いを携帯代金に上乗せして済ませることができるため、手間やプライバシーなどを気にかけることなく気軽にできることを挙げています。 こうした気軽にできる支払いなどから、コンテンツの無料化が進むWebに対して、良いコンテンツに対してはお金を払ってもよいと考えるユーザが相対的に多く存在し、携帯Webでは今のところコンテンツ販売が成り立っており、それによるコンテンツ市場の拡大が更なる革新的なサービスを生む機会となるのではないかとしています。
韓国でオンラインゲームが発展した理由としては、若年者でもコンテンツ使用料を携帯電話の料金に上乗せでき、気軽に支払いができることから利用者の拡大につながったことが大きな理由として挙げられているのを読んだことがあるのですが、確かに気軽に支払いができるということはあなどれない大きな利点でしょう。
次に著者が強調しているのは、携帯が持ち運び可能でいつでも利用できることからユーザの利用機会がPCに比べて大きい点、そしてユビキタス社会の統合インタフェースになるのではないかとしている点です。これまでユーザは様々な電器機器が発売されるたびにその使い方を覚える必要に迫られ続けてきたのですが、これからくるとされるユビキタス社会では、現実世界のいたるところにアクセス可能な機器が存在するようになり、それぞれの操作法を覚えようとするとますます使いこなすための労力が増すと考えられます。そこで携帯がそれらすべての機器にアクセスする際の玄関となるインタフェースとなれば、携帯の利用機会は爆発的に増えるのではないだろうか、と著者は述べています。カメラやマイク、加速度センサなどの共通の規格のデバイスを組み合わせれば、様々な情報へ言語以外の問い合わせからアクセスすることができるようになり、そのためにインタフェースのデザインが携帯の使い勝手の決め手になるのではないかとしています。 そうした流れになれば、ユーザインタフェース分野では昔から強みを持つアップルが携帯電話業界で台頭する可能性も大きいのではと予測を立てています。
ここで述べられている、携帯がユビキタス時代の総合窓口になるという考えは、面白いもののそれが実現するにはまだだいぶ時間がかかりそうに思います。 それよりもこの本で印象に残ったのは、ユーザがコンテンツを作る際の金銭的なインセンティブが無ければ、Web2.0は大企業に富が集中する広告モデルに行き着き、ユーザの自発的なコンテンツ提供が減衰していくのではないか、と著者が投げかけた疑問でしょうか。著者は、コンテンツ課金が成り立っている携帯ビジネスで今後さらにユーザが作るコンテンツが発展していくのではないかとして結んでいますが、一般人が作ったコンテンツから利益を上げられるような時代が来るのかどうかは非常に興味深い命題だと思いました。

Posted on 2007/07/11 Wed. 23:46 [edit]

category: 読んだ本

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11

ウィキノミクス 

ウィキノミクス マスコラボレーションによる開発・生産の世紀へウィキノミクス マスコラボレーションによる開発・生産の世紀へ
ドン・タプスコット/アンソニー・D・ウィリアムズ 井口 耕二

日経BP社 2007-06-07
売り上げランキング : 61

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☆☆☆☆★
読んだ本カテゴリですが、要約を書こうとすると、その手間から書くことに億劫になってしまって、いつまでたっても更新できないので、とりあえず本を読んだら感想だけでもどんどん書いていくようにしたいと思います。もし要約を期待されていた方がいられたらすみません。とりあえず満足度が五つ星の本くらいは今後も要約を書いていきたいと思います。

感想
Web2.0が社会に与える影響について述べた本です。ミクロな視点からは消費者としてのサービスの楽しみ方、個人の働き方や働く意識の変化などを、マクロには会社や組織という枠組みの変化から、それによって変わっていく経営戦略のあり方などが述べられていますが、基本的にはコラボレーションのあり方がどのように変わりつつあるのかについてを様々な例とともに解説された内容になっています。Web2.0的な考え方や潮流などをまとめて俯瞰するためにはとても良い本だと思います。

自分にとって目新しかった点としては、所謂Web2.0的なコラボレーションの対象は、ネットで容易に流通可能で仕事の分割が比較的容易なソフトウェアなどの現実世界から受ける制約の少ないものに限定される思っていたのですが、本書ではサプライヤとの密なコラボレーションによってものすごい速さで発展したオートバイク企業やボーイングなどの例があり、このようなコラボレーションはウェブの持つ空間の制約を著しく軽減する特性だけから来るのではなく、仕事に参加する各プレイヤが自立的にそれぞれ得意な分野に向かって努力を出せるようなルールや価値観などを作り出すことが重要であることなどが挙げられます。

個人の持つ創造性は他人や組織から決められた仕事をこなすところからよりも、自分の選んだ道や得意とする領域から生まれる場合が多いのではないでしょうか。ウェブなどのネットワークによって人がそれぞれ持つ能力と、それを必要とするタスク間のマッチングが成立しやすくなり、個人としては自分の持つ才能を活かす機会が大きくなるという、本書で今後やって来るであろうと描かれているような社会は、今よりも実力主義的で厳しい社会になるかもしれませんが、これまでだと開花しないまま終わったかもしれないような才能やアイデアを活かせる機会が増えたとも言え、何かのアイデアや、熱意を持って取り組める対象を持っていても、実際に人を探してチームを作っていくなどの、実現のプロセスにおける社会的なコストから及び腰になっていた人にとっては面白い世界になっていくように思います。

また、最近は自作の小説、音楽、ゲームを作る人が多くなってきたように感じるのですが、やっぱり、自分の作った物を人から認めてもらえた時に得られる喜びは単にサービスを消費するよりも大きいもので、そうした自分の作ったものを公開することにコストがかからずに、公開したものに対するいろいろな人とのコミュニケーションが容易に取れる環境が整っていけば、人はサービスを消費することから、自らサービスを生み出していくことに、ますます楽しみの比重を移していくのかもしれません。そしてこうした個人が持つ、作り手に回りたいという欲求をうまく取り込んだ企業なり組織が、その分野でのプラットフォームを築いて発展していくのでしょう。

Posted on 2007/06/28 Thu. 00:01 [edit]

category: 読んだ本

thread: ブックレビュー  -  janre: 本・雑誌

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