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☆☆☆☆★
(このレビューはネタバレを含みます)
孤児院を追い出された主人公が彷徨った果てにロンドンに辿り着き、老人が仕切る少年窃盗団に入ることになって事件に巻き込まれてゆく…という話です。

前半はだいたい少年がかわいそうな話が続くのですが、あまり話に起伏が無くて正直途中までは☆3個半くらいの感じで観ていたのですが、最後の最後のシーンで意表を突かれました。
窃盗団では少年達を利用して稼ぎをピンはねして自分の保身のためには捕まった少年を犠牲にするどうしようもない奴で今まで自分の事しか考えてこなかった老人。とうとう捕まってしまい、死刑を前にして気が違ってしまっても未だ自分が助かることしか考えていません。そんな奴でも、それでも庇おうとする少年の優しさに触れて最後の最後で初めて少年を思いやる言葉を投げ掛けます。短いシーンなのですが、何というか、人が改心する瞬間というものに触れて強く感動してしまいました。

自分でも誰かの思いやりに気付かずに攻撃的な気持ちになっている時に、この映画とは心情の違いはあっても、ふとしたきっかけで相手の気持ちに気付いて相手に感謝する気持ち、自分を悔いる気持ちに変わる瞬間があったりします。
自分は、自分を殺そうとするような老人を最後まで庇おうとする少年の心の境地には辿り着けないかもしれませんが、自分が裏切ったのに、このどうしようもないはずの自分を庇ってくれようとする優しさに触れてふと思いやりを取り戻す瞬間の気持ちはわかるように思います。そういう意味ではこの映画では少年よりもこの老人の方に感情移入していたように思います(最後の瞬間ですが)。そしてその老人がどうしようもない奴だったからこそ、その気持ちに至れた事に感動してしまいました。

文章では伝わり難いと思いますが、やっぱり演出や老人役の演技が良かったと思います。最後のシーン、老人は気が違ってしまって取り乱していてるのですが、少年の言葉を受けてふと、態度はそれまでの取り乱した調子のままなのですが、少年に、自分が死んでも悲しまずに前に進むんだよと投げかけます(実際はもっといい台詞です)。 ふとしたきっかけで相手の気持ちに気付いて心が変わる瞬間というものは、本当に瞬間的にドラスティックに訪れるように思うので、こうした演出によってリアルに心が変わる瞬間を感じられたのが自分としては良かったです。

原作は読んでいませんが、主人公や老人以外にも本来はもっとそれぞれの人生を背負っていると思われる登場人物もいますが、他の登場人物は映画の時間的制約からかあまり深く描かれていません。ですので機会があれば原作の方も読んでみたいと思います。
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Posted on 2006/12/25 Mon. 04:50 [edit]

category: 映画・漫画

thread: 映画★★★★★レビュー  -  janre: 映画

tag: 映画  感想  レビュー 
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