12 « 1.2.3.4.5.6.7.8.9.10.11.12.13.14.15.16.17.18.19.20.21.22.23.24.25.26.27.28.29.30.31.» 02

Orfeon Blog

読んだ本の要約、感想など。 他にも日々思ったことをつれづれと書き連ねます。

スポンサーサイト 

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

Posted on --/--/-- --. --:-- [edit]

category: スポンサー広告

TB: --    CM: --

--

スモールワールド・ネットワーク 

スモールワールド・ネットワーク―世界を知るための新科学的思考法スモールワールド・ネットワーク―世界を知るための新科学的思考法
ダンカン ワッツ Duncan J. Watts 辻 竜平

阪急コミュニケーションズ 2004-10
売り上げランキング : 15170

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

☆☆☆☆
"世界は6人でつながっている"、というフレーズで有名なスモールワールドなどの、ネットワークの科学における著名な研究者である著者の自分の研究の成り行きを中心に展開するネットワークの科学を紹介した本。

 まず、最初に著者がスモールワールドに興味を持ち、世界が6人でつながるには、各個人が知り合いを10人でも持てば10の乗数でネットワークが広がるのだが、実際には友達同士で知り合いを共有する場合がほとんどで、はたしてそれでもうまいこといくのかというところから、人がランダムに知り合いを選ぶ場合と知り合いとの関わりがあるほど選びやすいという、両極端のモデルを作って観察したところ、その中間付近のところで任意の2人を結ぶパスが短くなる領域があることを発見しました。
 さらにシンプルに考えるために1次元の円上に人が並び、それぞれその両隣100人までを相互につなぎ、ランダムにリンクをつなぎ換える確率を動かしていったところ、パスが短くクラスタリング係数が高い(知り合いとしかリンクがない)領域が広く存在することが確認されたことの説明がなされています。

しかし上で唱えられたランダムネットワークに対して、別の研究者が、金持ちはより金持ちになるという格言にならうような全く別の結論を出してきた話がでてきます。それはスケールフリーネットワークと呼ばれ、ノード数が増えて、リンクはそのノードがすでに持っているリンクの数に応じた確率でつながれるというモデルでした。このモデルはWWW上のサイトなどランダムネットワークでは説明できなかったものをよく説明しました。しかし実際にはノードは有限であることや、WWWのように他のノードの情報が容易に入手可能な状況ではよいモデルであるが実際の社会モデルでは適用が困難であることを述べ社会における集団構造を取り入れる必要性について述べています。

これまでのモデルはリンクをたどるだけでつながるとしていたが、実際に6人でつながると言ってもある特定の人にメールを出すことを考えると中継を経るごとに指数的にネットワーク上に伝送が溢れてしまって使えないことをP2PのGnutellaを例に出して考えています。この場合ではあくまで一方探索という制約の元で考えるが、集団構造を取り入れることによって人が2つ以上の異なった距離空間を持った集団に属していればスモールワールドが成り立つことを実験してみせています。

そのあとは伝染病の拡散をネットワークに当てはめて言及していて、伝染病は感染者の割合がある閾値を越すと爆発的に広がるのであるが、これは最初に述べたランダムネットワーク上のように近隣の人ばかりしか接しないような状況ではほとんど広がらないが少しのランダムに他の遠い場所までつながるパスがあれば広がる可能性が強まることを述べています。つまり他の人とのつながりが多そうな人の対策をしておけば爆発的な広がりは防げるとしています。今度は逆にルータの不具合の拡散の仕方について適用した場合、クラッカーは重要なハブを狙い撃ちするのでWWWはネットワーク構造上効果的にやられやすい脆弱性をかかえていることを述べています。

今度は人の意思決定をネットワークにあてはめて考えています。人は何かを意思決定する際にある程度他の人の意見を聞くといい、その時の原理として、他人の方が情報を持っているはずだという「情報の外部性」、社会的な圧力による「強制的外部性」、ゲーム機のプラットフォームなど、他の人が使っているほどそれが経済的に効果を持つようになる「経済の外部性」、最後に、直接的には自分の利益には反するがみんなが使うようになれば意義がある行為を選ぶ場合の「同調の外部性」について述べています。こうした人の意思決定において、どのようにしてブームが起こりうるのかをモデル化して説明しようとしています。人には先駆的なユーザとそれに乗じるユーザなど、周りの他のユーザに影響されやすさを分布を仮定すると、各ノードに接する平均ノード数が1人以上である程度以下であり、各ノードの他のノードに影響されやすさが大きければ、ブームが起こるとしています。しかし周りのノード数が大きくて影響されやすさが小さい場合はブームは起こりにくいが、あるクラスタ構造を持ったノードが最初に発火するとブームになる可能性があることも述べています。

今度は会社などの社会的な組織構造についてのネットワークについて述べています。組織の根本的な構造として階層構造を前提におき、各ノードがリンクを維持するのにコストがかかると仮定して、これらの組織ネットワーク構造において情報をより少ないコストでより短いステップで効率よく伝達するには各階層で、下の階層では疎ではあるが互いにリンクをとり、上層部では密にリンクを持ち、また各階層間でもリンクを持てば最初のランダムネットと同じ要領で効率よく短いステップであらゆる情報にアクセスできるとしています。

本書はネットワークの原理があらゆるところに潜んでいて、さまざまな事象にネットワークを当てはめることがでいることを教えてくれます。実際様々な分野に話が及んでいて一つの原理が広範囲にまたがっているのをみるのはとても興味深いです。ネットワークの科学はあらゆる分野にまたがっているがゆえに様々な分野の人と協力することが重要であるらしく本書でも新しいことを始める際はまず誰かの協力を得るところから説明が始まっています。学融合が叫ばれる昨今、これからはいろいろな分野の研究を統合して行く方向に進んでいくのかもしれないので様々な分野を横断して考えられるように知識を蓄積していきたいものです。

Posted on 2006/09/30 Sat. 18:58 [edit]

category: 読んだ本

thread: ブックレビュー  -  janre: 本・雑誌

tag: 感想  要約 
TB: 0    CM: 0

30

コメント

Comment
list

コメントの投稿

Secret

Comment
form

トラックバック

トラックバックURL
→http://orfeon.blog80.fc2.com/tb.php/11-c528de27
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

Trackback
list

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。