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使える!確率的思考 

使える!確率的思考使える!確率的思考
小島 寛之

筑摩書房 2005-11
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☆☆☆☆
感想
本書は確率的考え方を日常に潜む確率的な要素を絡めてわかりやすく説明しています。ただ日常的な話ではなく、著者が経済学者であることから経済学の観点からの発想が述べられていて、確率を通して経済学の考え方にも触れることができます。

要約
世の中が不確実性を含むという意味では世の中での営みは確率的な振る舞いを理解することが物事の本質をより理解するための助けになる。人がよく確率を知らないで犯す間違いとして、縁起を担いで宝くじの当たりがでたところでまた買ってしまうというものがある。しかし本当の乱数の生成は難しいため、人々の振る舞いにもなんらかの合理性がある場合もある。株で勝った人が書いた株必勝本などが売られているが、大数の法則によって、参加者数が大きければ買い方などに依存せず、必ず大勝する人が一定以上の割合で存在するので、必勝法が存在するのではなく、実はたまたま勝った人がいるに過ぎない。ランダムウォークの話として、一定期間中に勝ち(負け)続けることは度々あることで、これがツキと信じられている。またランダムウォークの特徴として、どちらかの金がなくなるまでやる賭けの勝負では、負ける確率はそれぞれの持ち金に比例するため金持ちとの勝負は勝ち目が薄いとされる。

確率には4つのアプローチがあって、それぞれ、数学的確率、頻度的確率、主観的確率、論理的確率、が存在する。数学的確率とは理想的なサイコロなどのように対称性などから振る舞いが数理的に導かれるものを扱うもので、厳密性は高いものの、現実への応用が狭いという難点がある。頻度主義はある事象の頻度を計ることで確率を付与するものであるが、精度の良い確率を求めるには沢山の試行が必要であることと、その確率が正しいためには試行の条件が未来でも普遍であることが必要であるため、実際の応用では制限を受けることが多い。主観的なものは、人の感じる確率を扱うもので曖昧さが付きまとうものの、過去のデータがあまりなくとも環境が不安定でも使えるというメリットがある。論理的確率は、人が推論を行う時に用いる様々な理由付けを組み合わせたもので、現在発展中のテーマでもある。

実際に確率を実世界に応用した例を紹介。不確実性をうまく利用した例として抜き打ちテストを挙げる。いつやるかわからないリスクに備えることが難しいため全ての授業に出るようになって少ないコストで出席率の向上が図れる。検問や査察などもこれと同様。逆に言えば規則性を読むことができれば利益を得る機会があるということにもなる。例えば大学受験などでは一年前の倍率を考慮してその年の倍率はそれと逆になることが多い。しかし株取引などのような規則を必死で読もうとする人が多いところではなかなかこれが通用しない。 次に臨機応変の話。授業で先生が試験を課すのは勉強してもらいたいからであるが、先生としては試験をするのはめんどくさい。したがって、試験をすると言っておいて学生に勉強させて 実際には試験はやらないのが先生にとって一番楽な選択となる。しかしそれがうまくいくのは最初だけで学生もそれを見抜くようになる。臨機応変に振舞えることが最初の宣言の信憑性を失わせるからである。したがって最初の宣言の信憑性を増すためには臨機応変さを納得いく形で封じることが必要となる。話は戻って不確実性の実用として、アンケートで答え難い質問に答えてもらうために、答えることに不確実性を付与することで本当のことを答えてもらい、不確実性は最後にその不確実の割合を削ぎ落として全体としての割合を知る、などの方法がある。他に、乱数を利用する方法としてモンテカルロ法を挙げ、乱数によって生成した条件で結果をシミュレートする実験を大量に行って、より適切な解を求める方法がよく用いられている。

統計データから何かの特徴を発見するための方法について。データをある程度の期間でのスパンで平均をとって中期間でのトレンドを見つける平均移動法などを挙げている。データから見つかる面白い特徴として、スポーツ選手になる人の出生時期は4、5月が多い、ことや、めでたい日まで死期を遅らせることができる、ことなど、推察を加えながら説明。こうした統計データを読むことは世界に対する好奇心を満たすきっかけとなるのではないだろうか。次に統計の要素として、平均と実際の値がどれほどのブレで起こりうるかを示す標準偏差についても言及。標準偏差が大きいほど期待される値とのブレが大きく、それだけリスク、およびチャンスの幅が大きいということになる。水位になぞらえて、平均が水位で、波の最大最小の高さが偏差に相当する。投資にもなぞらえて、企業の実力から割り出す投資では平均が重要で、短期的なチャンスを狙う投機では偏差が重要である。

統計には期待値という言葉があるが、機械の故障確率などの確率密度の期待値の値と実際に感じる頻度には隔たりがある場合がある。それは確率分布が幾何分布と呼ばれる、非対称で右肩下がりの分布で起こり、それは実際の平均値よりも右のテールで永延と続く頻度が小さい部分が期待値を押し上げているからである。豆知識としてはその平均値となる値以下となる割合は自然対数e-1:1となるそうである。幾何分布の性質としては現在の確率が以前の試行結果とは無関係である、無記憶確率であるということが挙げられる。無記憶性の例としては真空管などのある種の機械の故障発生率は、故障確率が作られてからの時間の長さとまったく関係の無いことなどがある。所得分布などでも平均と実際の感覚が違うのも同じような理屈である。この場合は最頻値を用いれば実態の感覚とより近くなる。ちなみに所得分布などは物理現象を表したエントロピーモデルでも表すことができ、これは人間社会でも何らかの単純な物理現象と同じランダムさが働いていることに繋がる証左ではないだろうか。

最初の確率のアプローチの分類で頻度確率と主観確率があったが、たくさんのデータから確率を求めようとするのが頻度主義であるが、そうしたものを前提とせずに確率を推論できる主観などを用いる手法としてベイズ推定というものがある。これは予想したい事象が事前に起こる確率(事前分布)を適当に仮定しておいて、それと、その事象だった場合に実際に起こった事象が起こる確率と用いて、実際に起こった事象が起きた時に、その原因となる事象である確率を求める手法である。事前確率という曖昧さがあるが、これによってデータがほとんど無い状態でも推定を行うことができる。推定を繰り返すごとに事前分布の精度が上がり、結果推定の精度も良くなっていく。ベイズ推定は人の推定モデルをよく表したものであり、ビジネスで非常によく用いられており、スパムメール推定やマーケティングなど利用範囲はとても広い。このベイズ推定の考え方を用いた経済理論として貨幣錯覚というモデルがある。これは流通貨幣の量によるインフレと失業率というあまり関係の無いはずのものが関係する理由を説明するものであり、市民にとってはインフレが流通貨幣の量に拠るものなのか、あまりあることではないが何かしらの需要供給関係が変化した結果なのかがわからないため、もし需要供給が変化した結果であれば対応しないといけないため、実際には流通貨幣が増えただけであっても、需要供給が変わった場合での振舞いを念頭に置いた行動を取ることになる。

社会現象に確率を用いた例を紹介。一般に確率それ自体は変化しないものであるが、銀行の取り付け騒ぎや癌の告知など、確率(それに関する情報)を公表することでその確率自体が変わってしまう自己言及性について。他には組織におけるやる気のある人とそうでない人の割合が一定であることを説明するモデルに自分がもらえる収益を最大化する戦略として確率を用いているものがある。日常的な確率感覚にとって重要な視点として、決断しなかった事象を観測することはできない、ということがある。人は自分の経験によって行動の基となる内的な確率を更新していくのであるが、たまたま判断して失敗した経験があると、その行動を取らなくなるためその行動に関する確率情報が更新されず、この性向は人を保守的にしてしまう。こうした状態に陥らないためには、確率を意識することが重要なのではないだろうか。

世の中の不確実性に対するための方策として、個人だけの経験にたよるのではなく、他人の経験に頼ることは有意義なことである。他の経験を基に行動を判断するモデルとして、様々な経験があってそれらの優位度があり、そして現在直面してる問題とそれら経験との類似度と優位度とを考慮して人は行動を決定するという事例ベース意思決定がある。また人の選択肢の多い手段を選ぶ程度をモデル化したものがあり、期待値を求める時に選択肢の最大値を利用することで、人の優柔不断性を説明している。貨幣などはこの人の優柔不断性を満たすものとしても考えられる。

最後に、著者は、人は判断を下す基として統計的な頻度をいつもあてにしているわけではなく、頻度における平均などで判断しようとするとその結果がもたらすことに見落とすものが多い。1%の死亡確率による期待損失X時間というものと、実際に死ぬこととは大きなギャップがある。人は自分の内面にもつモデルに基づいて行動するわけであるが、それらのモデルも各人が所属する社会と常に関っている。そうした社会を説明するためにも正しい選択と合理的な選択を解き明かしていきたいと思う。

Posted on 2006/12/28 Thu. 12:56 [edit]

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