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読んだ本の要約、感想など。 他にも日々思ったことをつれづれと書き連ねます。

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技術の伝え方 

組織を強くする技術の伝え方組織を強くする技術の伝え方
畑村 洋太郎

講談社 2006-12-19
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☆☆☆★
感想
技術を伝えるための具体的なコツなどについて多く述べられているため、普段あまり意識しなかった知識の伝え方や説明のしかたなどをあらために意識する意味でもとても有意義な本だと思います。また人によく伝えることを考えることは、いかにしてひとが理解、上達するのか、ということを考えることにもつながり、伝える側から考えることで自分の技術や知識の研鑽するための補助にもなります。
ただ、自分的には、具体的な示唆は多いものの、説明される示唆の順序が断片的であったり、ちょっとまとまりがなくて読みづらかったように思えたことと、述べられているアイデアは具体的ではあるものの目新しさという観点からは地味でもあるため、私的評価は☆は3個半としましたが、自分の行動を振り返るきっかけにもなり、伝えるための考え方を整理する意味でも面白かったと思います。

要約
団塊の世代の退職によって企業を支えてきた技術が産業界から失われてしまう2007年問題が騒がれているが、世代間に限らず、技術を人に伝えて再生産していくための方法は重要である。ここで本書で述べる技術の定義であるが、「知識やシステムを使い、他の人と関係しながら全体を作り上げていくやり方」とする。技術とは個人の中で完結する技能ではなく、人に伝えることも可能で、複数の人が持つ知識を組み合わせることでより規模の大きいものも作りあげることも可能となる。そのためにも他の人に知識を共有するための伝え方が重要になる。

技術を伝える相手としては、世代的、場所的、時間的に離れた他人、あるいは未来への自分、などのケースがある。企業における競争環境の変化による配置転換など、人の移動が起こり、移動後でもその人の持っていた業務がスムーズに移行できるようにする必要性がある。定期的に伝達のために暗黙的な技術を明示化する必要に迫られて技術が残り易いというメリットがある反面、技術自体が失われるデメリットも考えられる。また企業間による技術移転では、人を介さない形で技術が伝えられると考えられがちであるが、実際には現場の気を含めた雰囲気も重要であるため、直接的な人による指導が欠かせない。技術を伝える必要性としては、技術を後の世代に伝えることで無駄な試行錯誤を避けることで効率的に発展を図ることができることとが挙げられる。もう一つで重要なのが、中途半端に技術が伝えられると、六本木の回転ドアにおけるドアの重さの重要性や、JCOの核燃料における形状管理など、暗黙的で重要な知識が正しく理解されていなかったために、大損害を起こすリスクがある。最近ではコンピュータによるシミュレーションによって開発コストを大幅に下げるシステムがあるが、その現実の裏にある暗黙的な知識を見逃す恐れがあることを念頭においておかなければならない。

そのために企業などでも社内研修などで社内の技術を効率よく伝える試みが数多くなされているが、実際にはなかなかうまく機能していない。技術は本来伝えるものではなく、伝わるものであり、伝えられる側の立場で考えた「伝わる状態」をいかに作るか、に最も力を注ぐべくである。マニュアルなどは最初はシンプルであっても、環境の変化に応じて分量が増えてしまう宿命にあり、本質だけを抽出する作業が忘れられがちでもある。分量が増えると読むのも面倒になり、その結果、マニュアルの無視という最悪の結果に陥ることもある。伝えるための方策として、試験などを課すという強制的な手段もある。これはムチとして効果的でもあるが、やはり自発的な興味に及ぶものではない。人に知識が伝わる時というのは、相手の頭の中にある知識の構造が自分の持つ構造と(ほぼ)一致することでもある。もし説明を受ける側でそのような知識の構造を持っていなくても、経験豊富な人は似たような構造を当てはめることで理解を得ることができる。このようなことから説明する側は相手の持つ知識の構造に応じた説明をしなければならない。 失敗経験を集めたデータベースがあまり機能しない理由は、原因と結果だけしか載っておらず、原因によって、当事者がどのような行動を取ったかがわからないため、その知識を活かせないことが考えられる。伝えられる側が理解しやすい形でデータベースを作ることを考えることが重要である。

次に伝える側に知識や技術を受け入れる素地を作るための方策であるが、 知識をうまく伝えることができるかどうかは、相手の知識を吸収しようとする意欲に大きく左右される。そのため、相手に自発的に知識を得たいと思うように仕向けることが大切である。以上のことを踏まえて、技術を伝えるために必要だと思われるポイントとしては以下の5つが挙げられる。
1) まず体験させる
2) はじめに全体を見せる
3) やらせた結果を確認する
4) 一度に全部伝えない
5) 個はそれぞれ違うことを認める
1.は実際にやってみることでもっと知りたいという具体的な欲求が出てくること、2.は全体を見せることで今自分がやっていることがどのような役割を果たしているかがわかる、3.は初めて経験する人は結果の良し悪しがわからないので評価基準として教えること、4.は知識は階層的な構造を持っており、それぞれの段階にあった教え方をするべきであること、5.は理解の方法は人によって違うので伝える側はそれに応じる工夫をすることを忘れないこと、となっている。 基本的に技術や知識は自分が欲しいと思ったところをむしり取るくらいの方が身に付くものであり、そうした場を持つことが大切である。

伝えるものには、知、技、行動、の3つの種類がある。知は生産活動に必要な知識であり、技は様々な作業についてまわる技能的な行動や判断で、行動は技とも呼べない行動のことで安全などがこれに該当する。これに加えて特に意識しないで伝わるものとして、価値観や信頼感、責任感といった企業文化や気といったものも重要である。 また伝える知識にも階層性があるが、企業の階層性や技術の決まりごとなどにも階層性があり、これらは関連しあっていて、この関連性が理解できるようになると全体的な立場で考えることができ、伝えるべき知識を伝えなかったなどのミスが防ぐことができる。知識を伝える時は客観的になることが大事であると考えがちであるが、そうした観点からは暗黙的なことが忘れられて伝えられるものが無味乾燥なものになってしまうので、こうした知識の構造がわかっていれば主観的に伝えることも重要である。また暗黙的な知識は伝える際に忘れられがちであるため、そうした暗黙知を明示化することが大切になってくる。 人に伝えるためにまず大切なのが受け入れの素地を作ることであるが、これが上での1.2.に相当する。受け入れる素地ができあがった後の伝え方としては、3.の結果を確認させることが大切になるが、そのためには、伝えた相手にその内容をアウトプットさせて結果をフィードバックするのだが、アウトプットをさらに他の人に教えるという形式で行うことで、他人に伝えることを意識することで曖昧でない体系的な理解が得られるメリットがある。2.の全体を見せることも大切で、技術の思考展開図やスケルトン図などの体系的に得た知識を全体の中でマッピングすることなども効果的である。 また伝えたいことをうまく伝えるにはイメージを伝えることが効果的で、自分の体験の中で得たイメージを相手に伝えるのであるが、人のイメージの基となる体験は人それぞれなので、相手の持っているイメージに沿うように、伝える側は試行錯誤する必要がある。

人に技術や知識を伝える際には、強くイメージ喚起を促す写真や画像を利用することが非常に効果的である。しかしそうした画像は情報が多すぎることが多く、要点を抽出して伝えるためにも言葉で補完するなどの工夫が大切になる。その際、伝える側としても伝える内容を図にするためには深い理解が必要となる。また伝える内容として、やるべきことだけを伝えると表層的な知識しか伝わらないこともあるが、何をしたら失敗するか、この技術が生まれる過程でどのような失敗があり試行錯誤があったのか、といった技術の生まれる過程や背景、文脈を多面的に伝えることができれば、伝わる知識もより深みのあるものになる。

一人だけが技術を身につけても組織としては大きな成果は出すことはできず、さまざまな人が知識や技術を組み合わせることが重要となる。そのためには個人が責任を共有することが大切で、個人がそれぞれの考えを持つための独立性が担保されなければならない。そうした上でそうした個人知を共有するためには、互いが持っている個人知を表出する場を設けることが有効である。その際に各個人知がしっかりとしたものであるためにはその場に集う以前に各人がしっかり考える必要がある。各人がしっかり考えてきていれば、相手のアイデアもある程度考える経路がわかるためスムーズに知識を共有できる。そうした知識を共有するためには、普段からその人と接していると、その背後にある思想や価値観などがわかるため、さらにスムーズに相手の知識を理解することが可能となる。また、共有知だけが重要というわけではなく、各個人知の重複が少なければそれだけ知識の広がりが大きいわけで、共有するための伸びしろは大きいということになる。なのでさまざまなバックグラウンドを持つ人でチームを組めばそのプロジェクトは発想豊かなものになるだろう。

Posted on 2007/01/21 Sun. 02:28 [edit]

category: 読んだ本

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