Orfeon Blog
読んだ本の要約、感想など。 他にも日々思ったことをつれづれと書き連ねます。
iPhone 衝撃のビジネスモデル
仕事の関係でケータイ関連についていろいろと興味を持って読んだ本の紹介を。
本書は最近流行のiPhoneを題した本なのですが、既存の携帯電話に対するiPhoneの優位点だけではなく、PCを中心としたWeb2.0的なビジネスに対して携帯ビジネスが持つビジネスモデル上の優位点などが述べられている点が面白かったです。
内容的にはそれほどボリュームがあるわけでもなかったので評価は3.5としましたが、この本で述べられている点はとても明快で、携帯の持つ、ビジネスモデル上の優位点と、デバイスが持つインタフェースがこれから重要になる、ということに集約されます。
ビジネスモデル上の優位点としては、Webで支払いをするためにはクレジットカードの番号などを入力する必要があるのに対して、携帯で買い物をする場合、支払いを携帯代金に上乗せして済ませることができるため、手間やプライバシーなどを気にかけることなく気軽にできることを挙げています。 こうした気軽にできる支払いなどから、コンテンツの無料化が進むWebに対して、良いコンテンツに対してはお金を払ってもよいと考えるユーザが相対的に多く存在し、携帯Webでは今のところコンテンツ販売が成り立っており、それによるコンテンツ市場の拡大が更なる革新的なサービスを生む機会となるのではないかとしています。
韓国でオンラインゲームが発展した理由としては、若年者でもコンテンツ使用料を携帯電話の料金に上乗せでき、気軽に支払いができることから利用者の拡大につながったことが大きな理由として挙げられているのを読んだことがあるのですが、確かに気軽に支払いができるということはあなどれない大きな利点でしょう。
次に著者が強調しているのは、携帯が持ち運び可能でいつでも利用できることからユーザの利用機会がPCに比べて大きい点、そしてユビキタス社会の統合インタフェースになるのではないかとしている点です。これまでユーザは様々な電器機器が発売されるたびにその使い方を覚える必要に迫られ続けてきたのですが、これからくるとされるユビキタス社会では、現実世界のいたるところにアクセス可能な機器が存在するようになり、それぞれの操作法を覚えようとするとますます使いこなすための労力が増すと考えられます。そこで携帯がそれらすべての機器にアクセスする際の玄関となるインタフェースとなれば、携帯の利用機会は爆発的に増えるのではないだろうか、と著者は述べています。カメラやマイク、加速度センサなどの共通の規格のデバイスを組み合わせれば、様々な情報へ言語以外の問い合わせからアクセスすることができるようになり、そのためにインタフェースのデザインが携帯の使い勝手の決め手になるのではないかとしています。 そうした流れになれば、ユーザインタフェース分野では昔から強みを持つアップルが携帯電話業界で台頭する可能性も大きいのではと予測を立てています。
ここで述べられている、携帯がユビキタス時代の総合窓口になるという考えは、面白いもののそれが実現するにはまだだいぶ時間がかかりそうに思います。 それよりもこの本で印象に残ったのは、ユーザがコンテンツを作る際の金銭的なインセンティブが無ければ、Web2.0は大企業に富が集中する広告モデルに行き着き、ユーザの自発的なコンテンツ提供が減衰していくのではないか、と著者が投げかけた疑問でしょうか。著者は、コンテンツ課金が成り立っている携帯ビジネスで今後さらにユーザが作るコンテンツが発展していくのではないかとして結んでいますが、一般人が作ったコンテンツから利益を上げられるような時代が来るのかどうかは非常に興味深い命題だと思いました。
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内容的にはそれほどボリュームがあるわけでもなかったので評価は3.5としましたが、この本で述べられている点はとても明快で、携帯の持つ、ビジネスモデル上の優位点と、デバイスが持つインタフェースがこれから重要になる、ということに集約されます。
ビジネスモデル上の優位点としては、Webで支払いをするためにはクレジットカードの番号などを入力する必要があるのに対して、携帯で買い物をする場合、支払いを携帯代金に上乗せして済ませることができるため、手間やプライバシーなどを気にかけることなく気軽にできることを挙げています。 こうした気軽にできる支払いなどから、コンテンツの無料化が進むWebに対して、良いコンテンツに対してはお金を払ってもよいと考えるユーザが相対的に多く存在し、携帯Webでは今のところコンテンツ販売が成り立っており、それによるコンテンツ市場の拡大が更なる革新的なサービスを生む機会となるのではないかとしています。
韓国でオンラインゲームが発展した理由としては、若年者でもコンテンツ使用料を携帯電話の料金に上乗せでき、気軽に支払いができることから利用者の拡大につながったことが大きな理由として挙げられているのを読んだことがあるのですが、確かに気軽に支払いができるということはあなどれない大きな利点でしょう。
次に著者が強調しているのは、携帯が持ち運び可能でいつでも利用できることからユーザの利用機会がPCに比べて大きい点、そしてユビキタス社会の統合インタフェースになるのではないかとしている点です。これまでユーザは様々な電器機器が発売されるたびにその使い方を覚える必要に迫られ続けてきたのですが、これからくるとされるユビキタス社会では、現実世界のいたるところにアクセス可能な機器が存在するようになり、それぞれの操作法を覚えようとするとますます使いこなすための労力が増すと考えられます。そこで携帯がそれらすべての機器にアクセスする際の玄関となるインタフェースとなれば、携帯の利用機会は爆発的に増えるのではないだろうか、と著者は述べています。カメラやマイク、加速度センサなどの共通の規格のデバイスを組み合わせれば、様々な情報へ言語以外の問い合わせからアクセスすることができるようになり、そのためにインタフェースのデザインが携帯の使い勝手の決め手になるのではないかとしています。 そうした流れになれば、ユーザインタフェース分野では昔から強みを持つアップルが携帯電話業界で台頭する可能性も大きいのではと予測を立てています。
ここで述べられている、携帯がユビキタス時代の総合窓口になるという考えは、面白いもののそれが実現するにはまだだいぶ時間がかかりそうに思います。 それよりもこの本で印象に残ったのは、ユーザがコンテンツを作る際の金銭的なインセンティブが無ければ、Web2.0は大企業に富が集中する広告モデルに行き着き、ユーザの自発的なコンテンツ提供が減衰していくのではないか、と著者が投げかけた疑問でしょうか。著者は、コンテンツ課金が成り立っている携帯ビジネスで今後さらにユーザが作るコンテンツが発展していくのではないかとして結んでいますが、一般人が作ったコンテンツから利益を上げられるような時代が来るのかどうかは非常に興味深い命題だと思いました。
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