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読んだ本の要約、感想など。 他にも日々思ったことをつれづれと書き連ねます。

モバゲータウンがすごい理由 

モバゲータウンがすごい理由 ~オジサンにはわからない、ケータイ・コンテンツ成功の秘けつ~モバゲータウンがすごい理由 ~オジサンにはわからない、ケータイ・コンテンツ成功の秘けつ~
石野 純也

毎日コミュニケーションズ 2007-06-19
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☆☆☆☆
タイトルには最近ケータイでの新たなSNSとして注目を集めているモバゲーとありますが、モバゲーの人気の理由などを通じて、PCベースのWebコミュニティにはない、ケータイベースのWebコミュニティの可能性についても言及されています。

まず、近年モバゲーが急激な成功を収めた理由についてですが、パケット料金の定額制が大きな転機になったとしています。利用者が通信料を気にすることなく気楽にサービスに接続できるようになるからです。その結果、音楽などの大容量の通信を必要とするコンテンツが普及し、携帯端末の高機能化と相まってより魅力的なサービスが出現するにいたります。
ここでもうひとつ見逃せない変化として、利用者がウェブ接続に興味を持つにしたがってGoogleやYahooなどの検索システムが導入され、その結果、キャリアが認める公式サイトと、勝手サイトとの違いが薄れてきたことが挙げらます。公式サイトの利点としては、キャリアが携帯からWebへの入り口から辿り着けることが挙げられますが、利用者がそれらを無視していきなり検索エンジンで自分の興味のあるページに飛ぶようになってしまえば、そうした利点は失われてしまうでしょう。もっとも、ケータイWebでのページでは、リンク構造の違いなどPCベースのWebとは違った特徴があり、検索エンジンの精度もそれほどよくはないようです。検索サービスプロバイダもこれからケータイWebの覇権をめぐって激しい競争に突入していくのでしょう。
もうひとつの公式サイトの利点としては、サービスの代金を携帯料金に上乗せして課金を代行してくれることが挙げられます。これは、先にレビューしたiPhoneの本でも言及されていたことですが、依然としてコンテンツプロバイダにとって大きなメリットになっています。 コンテンツプロバイダへの対応は通信キャリア各社で異なっていて、一番積極的に働きかけているのがKDDIで、KDDIが選んだコンテンツプロバイダと協力したり、自分自身でコンテンツ公式サイトを作り、プロバイダとして積極的に売り込んでいく姿勢を見せています。これは利用者にとってキャリアが提供することで安心感の持てるサイトを作っていくことが現在大切であるという考え方に基づいているようです。それとは逆にドコモは、通信キャリアはあくまでコンテンツのプラットフォームを提供する立場なのでその利点を活かして使ってコンテンツに参入するとコンテンツプロバイダを圧迫しまいプロバイダがドコモから離脱してしまう、という考えからコンテンツ業にはあまり積極的ではなく、お財布ケータイなど、コンテンツが普及するための土台作りに専念していくようです。
ここからがモバゲータウンが発展した理由についてなのですが、モバゲータウン利用者が急速に伸びたきっかけとしては無料ゲームサービスが挙げられています。そして他の利用者と対戦したり、ゲーム中にチャットやメールをしたりと、ゲーム機能と他のコミュニティサービスとを利用者がシームレスに使えたことが、サイトの活発化につながっているようです。 サイトが活発化して利用者のコミュニケーションが増えれば、それだけサイト内でのページビューが増え、広告モデルでの収益に貢献することになり、また利用者のアバターなどの購入にもつながっていきます。モバゲータウンでの収益の2割がバナー広告、6割が成果報酬型広告、2割がアバター売り上げ、となっているそうです。現在、モバゲーでは利用者が作った小説や音楽など提供するコミュニティを立ち上げたりと、利用者同士の交流が深まるような仕組みを導入していくようです。
また、筆者が実際にモバゲーを使ってみた体験から、PCでのWebと、ケータイのWebでのコミュニケーションの違いについても言及しています。ケータイでのコミュニケーションの特徴としては、まずアクセス頻度が高いことが挙げられ、日記やコメントのひとつあたりの記事は短くても、ものすごい高頻度で更新されているようです。次に、利用者間の交流が盛んで、まったく知らない人同士でも、会話が浅くおさまり気軽に話せる雰囲気があるようです。ケータイでのSNSコミュニティがあまり荒れないのも、SNSのIDがケータイのメールアドレスと結びついていることによるIDを複数取得したり再取得するコストが大きいことや、SNSでのコミュニティの雰囲気からあまり深い話が書かれないことなどが理由となっているのかもしれません。モバゲーの担当者によると、ケータイのサイト構築には主にインタフェースの面でPCとはかなり違ったスキルがいるようで、PC版とケータイ版両方サイトを持つコンテンツプロバイダも使い分けに工夫をしているようです。
PCWebとケータイWebとのギャップは少しずつ広がっているようですが、あまりケータイに触れたことのない人もまずは実際にケータイのコミュニティに触れて体感してみることを著者は勧めています。

つい2年ほど前にmixiが流行ったと思ったら、もう次のコミュニケーションプラットフォームが台頭する話がでたりと、改めてこの世界の進化の早さを感じます。最近ではケータイからのWebアクセスがPCからのアクセスを抜いたそうですが、自分はPCからはよくWebに接続するものの、ケータイからのWebにはそれほど親しんではいません(未だに第2世代携帯です)。この本で述べられているようなPCをあまり使わずにケータイを使いこなす新しい世代と自分の間には、ひとつ以上上のWebを使わない世代と自分との間と同じかそれ以上のギャップがすでにできつつあるのかもしれないなと思ってしまいます。
問題に思うのは、今回の世代間でギャップは、機器や技術に対する適応というよりも、人とのコミュニケーションに対する姿勢という意味でのギャップの比重がより大きいと思うので、適応するのは難しそうなことでしょうか。 もちろんPCでのWebの意義はこれまでどおり大きくあり続けるでしょうが、技術者の端くれとしてはせめてケータイコンテンツでも技術的な部分はキャッチアップし続けていきたいものです。

Posted on 2007/07/16 Mon. 14:14 [edit]

category: 読んだ本

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ケータイ各事業者別に、各項目のカテゴリ名を分類している(例:EZチャンネル→auEZチャンネル)のが見受けられますが、カテゴリ名としては不適切であり、各事業者ごとのサブカテゴリを作るべきなので、作成提案します。cf. 、-- 2005年6月7日 (火) 02:25 (UTC)サブカテゴリ

ブロバンについて | 2007/07/28 13:07

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