Orfeon Blog
読んだ本の要約、感想など。 他にも日々思ったことをつれづれと書き連ねます。
ソフトウエア企業の競争戦略
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「要約」
著者によると、一般の製造業とソフトウェア産業の違いは、ソフトウェア産業は売り物となるソフトをコピーすることでコストゼロで作れるため、出版業と同じように爆発的に売れるソフトであると、大きな利益を得ることが可能である点を挙げています。特にOSなどのプラットフォームを司るソフトを独占的に提供すればさらに莫大な利益を得ることができるとしています。しかし実際にたくさん売れるソフトを作るのは難しく、コンスタンスに業績を維持するには商品を売るというビジネスモデルのみでは厳しいとしています。
一方、製品を売った企業にその後継続的にメンテナンスやサービスを行い売り上げを得るモデルは利益率はさほど高くないものの、安定的な収益をあげることが可能であるとしています。著者は、優れた製品を提供するのと同時に、一度売った製品から継続的な収益を上げるハイブリッドモデルがソフトウェア企業として望ましい形であるとしています。
また提供する製品の領域にも言及していて、過去の実際のソフトウェア企業の例を挙げながら、多くの企業が非常に大きな市場に魅せられて、汎用的な機能を持ったソフトウェアを開発を行い、コモディティ化による収益の悪化と激しい競争の末に敗れる例を挙げています。逆に機能とサービスをある業界に絞り込んで特化してその業界で地位を確立したあと、他の業界に徐々に足場を広げていき成功した企業の例を挙げています。こうした提供する製品の機能やサービスの領域を定義することは特に序盤の大切なポイントになるとしています。
またソフトウェア構築のためのプロジェクト管理についても日、欧米の違いについて触れられており、日本では製造業での品質管理の手法がソフトウェア構築でのノウハウにも活かされており、バグの少なさ、効率の良さの面では強いとされているが、反面、設計の段階で性能が固定されるため、柔軟性に欠ける欠点もあるとしています。一方欧米ではマイクロソフトの例を挙げていて、多人数で並列にプロジェクトを行う際に頻繁にビルドのためのソースの同期化を行うことで、設計の変更にたいする柔軟性や納期に対する厳正さ、などの優位な点を挙げています。
「感想」
日本のソフトウェア産業はゲームなどを除いて国内でしか影響力を発揮できないように思われますが、ここでソフトウェア構築の項で述べられていたように日本の産業の強さは製品管理的な計画性にあると思われる反面、ビジネスとしてどのようなモデルを構築するか、といった戦略性で欧米の企業に劣っているからではないかと思えました。製造業でも性能の良さは値段の安さで相殺されることが多く、特にサービスの用途において非常に大きな柔軟性があり、定量的な品質よりも、実現できるアイデア自体に価値があるソフトウェア産業では、いかに新しいサービスを考案するかの創造性が大切ではないかと思いました。
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競争戦略競争戦略(きょうそうせんりゃく)とは、競争の発生する基本的な場所である業界において、有利な競争的地位を探すこと。.wikilis{font-size:10px;color:#666666;}Quotation:Wikipedia- Article- History License:GFDL
経営学用語集 | 2007/02/08 17:05
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